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構造

利工具の毛抜きの形態は一本の金属棒を加工して二つに折り曲げた際に生じるバネ特性を利用した和式のものと、あらかじめ反りを持たせた2枚の金属板をスポット溶接で溶着してバネ特性を持たせたものに分類される。

 

用途

用途としては主に遅れ毛や眉毛や鼻毛、陰毛など、デリケートな部分の毛を整えるためによく使われる。逆さ睫毛の場合にも用いられる。金沢市や越後高田(上越市)、江戸(東京)など、古くから工芸品として伝わったところもあり、江戸毛抜きとして伝統工芸化され、彫刻や宝飾品等をあしらった毛抜きを作る毛抜き職人も存在する。前述したようにかつてはハマグリなどの、殻がちょうど合う二枚貝が毛抜きのために使われたこともあったが、江戸時代以降は鍛冶や工芸の発達で鉄が素材の主流となった。近年はステンレスが主流であるが、チタンや貴金属で作られたものもある。

 

国宝の「梅蒔絵手箱」(静岡・三嶋大社蔵、13世紀)には、他の化粧道具とともに銀製の毛抜き(鑷)が収められている。同様の銀製毛抜きは、熊野速玉大社の古神宝類の手箱(11点が現存、1390年頃、国宝)や、和歌山・阿須賀神社伝来の「松椿蒔絵手箱」(京都国立博物館蔵、1390年頃、国宝)にも収められている。これらは神宝として奉納されたものなので、当時実際に使われていたサイズであるかどうかは不明であるが(神宝は通常より大きく作られる場合が多い)、姿は当時使われていたものを忠実に再現していると思われる。

 

穂積陳重の『板倉の茶臼、大岡の鑷』(「法窓夜話」所載)には、大正4年の江戸博覧会で大岡忠相の遺品の毛抜き(鑷)を見たことが書かれている。それによると大きなもので7寸、小さいものでも3寸の大きさで、穂積の時代のものより数倍の大きさだったという。

 

毛抜きは化粧用具に分類され、男女問わず使用されている。他に毛を整える手段として、毛剃り機やハサミがある。美容器具としての毛抜きは手動により対象物を一本ずつ除去するタイプと電動式で広い面積を処理するタイプに大別される。

 

和式の毛抜きは魚類の骨を抜くための骨抜きとしても代用されることもあるが、和式の毛抜きの先端が本体に対して直角なものが多いのに対して骨抜きの先端は45度程度に傾いている。

(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より)

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